佐藤二朗さんが公表して強迫性障害とは

佐藤二朗さんが公表した「強迫性障害」とは?精神科医・清水栄司さんに聞く苦悩と共生

俳優の佐藤二朗さんが、「強迫性障害」という病気を小学生の頃から抱えていることを自身のX(旧ツイッター)でカミングアウト。「根治を諦め、共生を決める」とつぶやいたことが大きな反響を呼んでいます。

この強迫性障害とはどんな病気なのか、精神科医で千葉大学医学部附属病院認知行動療法センター長の清水栄司さんに詳しくお話を伺いました。

「やめたくてもやめられない」強迫観念と強迫行動

強迫性障害(最近では「強迫症」とも呼ばれます)とは、強い不安や苦痛を起こす考えや衝動(強迫観念)にとらわれ、その不安を打ち消すための行動(強迫行動)に駆り立てられる心の病気です。

頭では「ばかばかしい」「そこまでしなくていい」とわかっていても、自分の意志で止めることができない「やめたくてもやめられない」状態に陥るのが特徴です。

  • 不潔恐怖と洗浄:手が汚れている気がして、延々と手洗いやアルコール消毒を繰り返す。
  • 加害・確認恐怖:戸締まりやガスの元栓が閉まっているか不安になり、何度も家に戻って確認する。

清水さんはこの状態を「脳内の円グラフ」に例えます。正常な人であれば日常の様々な事柄で満たされている脳内が、強迫性障害の人の場合は「強迫観念」と「強迫行動」の割合で埋め尽くされてしまっているのです。

決して珍しくない病気、背景には過度なストレスも

強迫性障害は珍しい病気ではなく、人口の1〜2%に存在すると言われています。小学生から20代前半の若年層に多くみられますが、佐藤二朗さんのように成人になっても症状が続くケースもあります。

発症のきっかけは人それぞれですが、以下のようなタイミングで過度なストレスや責任感にさらされたときに表れることがあります。

  • 多感な思春期の受験ストレス
  • 妊娠・出産による赤ちゃんへの過度な責任感

医療機関での治療方法

精神科では、問診や「Y-BOCS(エールブラウン強迫観念・強迫行動評価スケール)」といった指標を用いて診断を行います。主な治療法は以下の2つを組み合わせて行われます。

  1. 薬物療法:抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用する。
  2. 認知行動療法:あえて不安に向き合い、強迫行動をあえて我慢する練習を重ねる。

※認知行動療法を保険診療で行える医療機関はまだ少なく、専門センターなどでは自費診療になるケースもあります。

病気と戦うのではなく「共生」していく工夫

治療を重ねてもすぐに完治するとは限らず、長く付き合っていく必要があるケースも少なくありません。だからこそ、佐藤さんが語った「共生」という視点が非常に大切になります。

清水さんは、脳内の円グラフの比重を切り替える工夫として「1日のなかで大事な予定を優先的に入れる」ことをアドバイスしています。

例えば食事中に「汚れてしまう」という強迫観念が浮かんできても、その不安の脅しには付き合わず、「家族との会話を楽しむ」「食材を味わう」といった目の前の大切な行動を優先させます。

早期相談が大切です

強迫性障害は、症状が出始めてから医療機関を受診するまでの「未治療期間」が平均7年という報告もあります。一人で抱え込まず、つらいと感じたら早めに専門医へ相談しましょう。

【お話を伺った方】清水栄司さん(精神科医/千葉大学医学部附属病院認知行動療法センター長)

佐藤二朗さんが公表した「強迫性障害」とは?精神科医・清水栄司さんに聞く苦悩と共生

俳優の佐藤二朗さんが、「強迫性障害」という病気を小学生の頃から抱えていることを自身のX(旧ツイッター)でカミングアウト。「根治を諦め、共生を決める」とつぶやいたことが大きな反響を呼んでいます。

この強迫性障害とはどんな病気なのか、精神科医で千葉大学医学部附属病院認知行動療法センター長の清水栄司さんに詳しくお話を伺いました。

「きれい好き・几帳面」と強迫性障害の決定的な違い

「きれい好きや几帳面といった性格で、手をよく洗ったり、出かけるときに戸締まりやガス栓などをこまめに確認したりする人はいます。しかし、強迫性障害はその程度がひどく過剰で、費やす時間も長く、苦しく、日常生活に支障が出るような状態をいいます」

そう清水さんは説明します。単なる性格の枠を超え、本人が深い苦痛を感じているかどうかが、病気かどうかの境界線になります。

抜け出せない「不安と強迫行為」の無限ループ

強迫性障害(最近では「強迫症」とも呼ばれます)とは、強い不安や苦痛を起こす考えや衝動(強迫観念)にとらわれ、その不安を打ち消すための行動(強迫行動)に駆り立てられる心の病気です。

具体的には、以下のような強い不安が頭を離れなくなります。

  • 汚れの拡散:「何かしないとどんどん汚れが広がってしまう」という考えから不安になり、何度も消毒用のアルコールで拭いたり、延々と手を洗ったりする。
  • 泥棒の侵入・加害:「泥棒に入られるのではないか」といった考えが頭から離れず、不安で何度も戸締まりを確認する。

こうした強迫行為を行うことで、一度は気持ちが落ち着きます。しかし、時間が経つとまた激しい不安が押し寄せてくるため、永遠と行為を繰り返してしまう無限ループに陥るのがこの病気のつらさです。

清水さんはこの状態を「脳内の円グラフ」に例えます。正常な人であれば日常の様々な事柄で満たされている脳内が、強迫性障害の人の場合は「強迫観念」と「強迫行動」の割合で埋め尽くされてしまっているのです。

決して珍しくない病気、背景には過度なストレスも

強迫性障害は珍しい病気ではなく、人口の1〜2%に存在すると言われています。小学生から20代前半の若年層に多くみられますが、佐藤二朗さんのように成人になっても症状が続くケースもあります。

発症のきっかけは人それぞれですが、以下のようなタイミングで過度なストレスや責任感にさらされたときに表れることがあります。

  • 多感な思春期の受験ストレス
  • 妊娠・出産による赤ちゃんへの過度な責任感

医療機関での治療方法

精神科では、問診や「Y-BOCS(エールブラウン強迫観念・強迫行動評価スケール)」といった指標を用いて診断を行います。主な治療法は以下の2つを組み合わせて行われます。

  1. 薬物療法:抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用する。
  2. 認知行動療法:あえて不安に向き合い、強迫行動をあえて我慢する練習を重ねる。

※認知行動療法を保険診療で行える医療機関はまだ少なく、専門センターなどでは自費診療になるケースもあります。

病気と戦うのではなく「共生」していく工夫

治療を重ねてもすぐに完治するとは限らず、長く付き合っていく必要があるケースも少なくありません。だからこそ、佐藤さんが語った「共生」という視点が非常に大切になります。

清水さんは、脳内の円グラフの比重を切り替える工夫として「1日のなかで大事な予定を優先的に入れる」ことをアドバイスしています。

例えば食事中に「汚れてしまう」という強迫観念が浮かんできても、その不安の脅しには付き合わず、「家族との会話を楽しむ」「食材を味わう」といった目の前の大切な行動を優先させます。

早期相談が大切です

強迫性障害は、症状が出始めてから医療機関を受診するまでの「未治療期間」が平均7年という報告もあります。一人で抱え込まず、つらいと感じたら早めに専門医へ相談しましょう。

【お話を伺った方】清水栄司さん(精神科医/千葉大学医学部附属病院認知行動療法センター長)

佐藤二朗さんが公表した「強迫性障害」とは?精神科医・清水栄司さんに聞く苦悩と共生

俳優の佐藤二朗さんが、「強迫性障害」という病気を小学生の頃から抱えていることを自身のX(旧ツイッター)でカミングアウト。「根治を諦め、共生を決める」とつぶやいたことが大きな反響を呼んでいます。

この強迫性障害とはどんな病気なのか、精神科医で千葉大学医学部附属病院認知行動療法センター長の清水栄司さんに詳しくお話を伺いました。

「きれい好き・几帳面」と強迫性障害の決定的な違い

「きれい好きや几帳面といった性格で、手をよく洗ったり、出かけるときに戸締まりやガス栓などをこまめに確認したりする人はいます。しかし、強迫性障害はその程度がひどく過剰で、費やす時間も長く、苦しく、日常生活に支障が出るような状態をいいます」

そう清水さんは説明します。単なる性格の枠を超え、本人が深い苦痛を感じているかどうかが、病気かどうかの境界線になります。

抜け出せない「不安と強迫行為」の無限ループ

強迫性障害とは、強い不安や苦痛を起こす考えや衝動(強迫観念)にとらわれ、その不安を打ち消すための行動(強迫行動)に駆り立てられる心の病気です。

具体的には、以下のような強い不安が頭を離れなくなります。

  • 汚れの拡散:「何かしないとどんどん汚れが広がってしまう」という考えから不安になり、何度も消毒用のアルコールで拭いたり、延々と手を洗ったりする。
  • 泥棒の侵入・加害:「泥棒に入られるのではないか」といった考えが頭から離れず、不安で何度も戸締まりを確認する。

こうした強迫行為を行うことで、一度は気持ちが落ち着きます。しかし、時間が経つとまた激しい不安が押し寄せてくるため、永遠と行為を繰り返してしまう無限ループに陥るのがこの病気のつらさです。

発症のきっかけは?はっきり覚えている人とそうでない人

発症のきっかけについては、本人がはっきりと覚えている場合と、そうでない場合があるようです。清水さんは次のような具体的な患者さんの例を挙げます。

「患者さんのなかには、ベランダで布団を干していたら鳩にふんをされ、そこから『自分は鳩のふんで病気になるんじゃないか』という不安が頭から離れなくなったと話す人もいますし、なんとなく汚いのが嫌になってきて、気がついたら手洗いばかりするようになっていましたと話す人もいます」

多感な思春期の受験ストレスや、妊娠・出産による赤ちゃんへの過度な責任感などが引き金になることもありますが、きっかけは人それぞれです。

強迫性障害のとき、脳には何が起きているのか?

心の病気は脳の病気という考え方があります。では、強迫性障害の人は、脳にどんな問題が生じているのでしょうか。

清水さんはこの状態を「脳内の円グラフ」に例えます。正常な人であれば日常の様々な事柄で満たされている脳内が、強迫性障害の人の場合は「強迫観念」と「強迫行動」の割合で埋め尽くされてしまっているのです。

医療機関での治療方法

精神科では、問診や「Y-BOCS(エールブラウン強迫観念・強迫行動評価スケール)」といった指標を用いて診断を行います。主な治療法は以下の2つを組み合わせて行われます。

  1. 薬物療法:抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用する。
  2. 認知行動療法:あえて不安に向き合い、強迫行動をあえて我慢する練習を重ねる。

※認知行動療法を保険診療で行える医療機関はまだ少なく、専門センターなどでは自費診療になるケースもあります。

病気と戦うのではなく「共生」していく工夫

治療を重ねてもすぐに完治するとは限らず、長く付き合っていく必要があるケースも少なくありません。だからこそ、佐藤さんが語った「共生」という視点が非常に大切になります。

清水さんは、脳内の円グラフの比重を切り替える工夫として「1日のなかで大事な予定を優先的に入れる」ことをアドバイスしています。

例えば食事中に「汚れてしまう」という強迫観念が浮かんできても、その不安の脅しには付き合わず、「家族との会話を楽しむ」「食材を味わう」といった目の前の大切な行動を優先させます。

早期相談が大切です

強迫性障害は、症状が出始めてから医療機関を受診するまでの「未治療期間」が平均7年という報告もあります。一人で抱え込まず、つらいと感じたら早めに専門医へ相談しましょう。

【お話を伺った方】清水栄司さん(精神科医/千葉大学医学部附属病院認知行動療法センター長)

佐藤二朗さんが公表した「強迫性障害」とは?精神科医・清水栄司さんに聞く苦悩と共生

俳優の佐藤二朗さんが、「強迫性障害」という病気を小学生の頃から抱えていることを自身のX(旧ツイッター)でカミングアウト。「根治を諦め、共生を決める」とつぶやいたことが大きな反響を呼んでいます。

この強迫性障害とはどんな病気なのか、精神科医で千葉大学医学部附属病院認知行動療法センター長の清水栄司さんに詳しくお話を伺いました。

「きれい好き・几帳面」と強迫性障害の決定的な違い

「きれい好きや几帳面といった性格で、手をよく洗ったり、出かけるときに戸締まりやガス栓などをこまめに確認したりする人はいます。しかし、強迫性障害はその程度がひどく過剰で、費やす時間も長く、苦しく、日常生活に支障が出るような状態をいいます」

そう清水さんは説明します。単なる性格の枠を超え、本人が深い苦痛を感じているかどうかが、病気かどうかの境界線になります。

抜け出せない「不安と強迫行為」の無限ループ

強迫性障害とは、強い不安や苦痛を起こす考えや衝動(強迫観念)にとらわれ、その不安を打ち消すための行動(強迫行動)に駆り立てられる心の病気です。

具体的には、以下のような強い不安が頭を離れなくなります。

  • 汚れの拡散:「何かしないとどんどん汚れが広がってしまう」という考えから不安になり、何度も消毒用のアルコールで拭いたり、延々と手を洗ったりする。
  • 泥棒の侵入・加害:「泥棒に入られるのではないか」といった考えが頭から離れず、不安で何度も戸締まりを確認する。

こうした強迫行為を行うことで、一度は気持ちが落ち着きます。しかし、時間が経つとまた激しい不安が押し寄せてくるため、永遠と行為を繰り返してしまう無限ループに陥るのがこの病気のつらさです。

発症のきっかけは?はっきり覚えている人とそうでない人

発症のきっかけについては、本人がはっきりと覚えている場合と、そうでない場合があるようです。清水さんは次のような具体的な患者さんの例を挙げます。

「患者さんのなかには、ベランダで布団を干していたら鳩にふんをされ、そこから『自分は鳩のふんで病気になるんじゃないか』という不安が頭から離れなくなったと話す人もいますし、なんとなく汚いのが嫌になってきて、気がついたら手洗いばかりするようになっていましたと話す人もいます」

心の病気は脳の病気という考え方もあります。では、強迫性障害の人は脳にどんな問題が生じているのでしょうか。清水さんはこの状態を「脳内の円グラフ」に例えて解説します。

病気と戦うのではなく「タイパ」で考える共生の工夫

治療を重ねてもすぐに完治するとは限らず、長く付き合っていく必要があるケースも少なくありません。だからこそ、佐藤さんが語った「共生」という視点が非常に大切になります。

清水さんは、脳内の円グラフの比重を切り替える工夫として、予定の立て方や捉え方について次のようにアドバイスしています。

「外出して、人と交流する予定を決めたり、趣味を楽しんだりする時間をとったりすると、自然と1日あたりの強迫症状にかける時間を減らすことができます。大事な付き合いや楽しみの時間を優先し、強迫観念や強迫行為に使う時間がもったいない、タイパ(タイム・パフォーマンス)が悪いとすることです」

例えば、食事のときに「汚れが広がってしまう」という強迫観念が浮かんできても、その不安の脅しには付き合いません。

それよりも優先事項として、「家族との楽しい会話を楽しみ、食材を味わい、食レポをする」といった生活に変えてみる。そうやって意識的に行動を選択し、脳内の円グラフの比重を切り替えていくことが大切なのです。

医療機関での治療方法

精神科では、問診や指標を用いて診断を行い、主に以下の2つを組み合わせて治療が進められます。

  1. 薬物療法:抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用する。
  2. 認知行動療法:あえて不安に向き合い、強迫行動をあえて我慢する練習を重ねる。

早期相談が大切です

強迫性障害は、症状が出始めてから医療機関を受診するまでの「未治療期間」が平均7年という報告もあります。一人で抱え込まず、つらいと感じたら早めに専門医へ相談しましょう。

【お話を伺った方】清水栄司さん(精神科医/千葉大学医学部附属病院認知行動療法センター長)

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