難病レット症候群とは
レット症候群(指定難病156)は、主に乳幼児期の女児に発症する進行性の神経発達障害です。
約1万人に1人の割合で発生し、生後半年から1歳半頃までは正常に発達しているように見えますが、その後それまでに獲得した言葉や手の運動機能が失われる「退行」が起こることが大きな特徴です。
主な症状
- 手の常同運動: 手をもむ、絞る、叩く、口に入れるなどの動作を無目的に繰り返す。
- 言語・運動機能の退行: 話していた言葉が出なくなり、物をつかむ、歩くといった動作が困難になる。
- 神経・精神症状: 重度の知的障害、自閉傾向、てんかん発作(約40〜80%)。
- 身体・自律神経の異常: 頭囲の発育不良(小頭症)、過呼吸や無呼吸などの呼吸異常、脊柱側弯、便秘、手足の冷え。
原因と遺伝性
- 原因: 典型例の約95%は、X染色体上にある「MECP2遺伝子」の変異が原因です。
- 遺伝性: ほとんどが突然変異による孤発例であり、親から遺伝することは極めて稀です。
- 性別: 男の子にこの遺伝子変異が起きると、多くは出生前に死亡するか、非常に重篤な状態になります。そのため、患者のほとんどが女児です。
4つの進行ステージ
難病情報センターの基準によると、症状は年齢に応じて以下の4段階をたどります。
| ステージ | 時期 | 主な状態 |
|---|---|---|
| 第1期:発達停滞期 | 生後6〜18か月 | お座りやハイハイの遅れ、周囲への関心の低下が始まります。 |
| 第2期:退行期 | 1歳〜4歳頃 | 言葉や手先の使い方が急速に失われ、手の常同運動が現れます。 |
| 第3期:仮性安定期 | 2歳〜10歳頃 | 進行が一時的に落ち着きます。視線が合うようになりますが、てんかんや呼吸異常が目立ちます。 |
| 第4期:晩期機能低下期 | 10歳以降 | 筋肉の緊張が強まり、車いす生活になるなど運動機能がさらに低下します。 |
治療の現状
現時点では根本的な治療法(完治させる薬)はなく、リハビリや抗てんかん薬による対症療法が中心です。
しかし、医療技術の進歩により世界中で新薬や遺伝子治療の研究が進んでいます。
- 海外の動向: 米国やカナダでは、症状を緩和する治療薬「トロフィネチド(Trofinetide)」がすでに承認されています。
- 国内の動向: 日本国内でも治験が始まっており、認定NPO法人 レット症候群支援機構などが新薬開発に向けた研究支援や情報発信を積極的に行っています。
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